はじめに  前著『SX-WINDOW プログラミング』が発売になって, ひと月もしないうちにX68000の新シリーズXVIがリリースされ同時にSX-WINDOWも大幅に変更されてバージョン1.10となりました。新しいSX-WINDOWは,画面描画スピードの向上,プリンタマネージヤ/プリンタドライバ周辺の充実,そして優秀なエディタの添付など,さらに実用性が高められた内容となっています。  バージョンアップ自体はおおいに歓迎すべきことなのですが,『SX-WINDOW プログラミング』だけではフオローしきれない部分もしだいに明らかになってきました。SXコールは大幅に増設され, 新しいマネージヤが2つも新設されています。  このような変更に対応するため,本書『追補版SX-WINDOWプログラミング』が企画され,出版に至りました。さらに強力になったSX-WINDOWを,本書によって十二分に活用していただければ幸いです。  また,今回,サンプルプログラム類の入力の手間を省くことや,ペーパーメディアでは十分には伝わらない情報をお届けするため,付録としてフロッピーディスクを添付することになりました。このディスクには,パソコン通信で公開されているSX-WINDOW用のフリーソフトウェアを,作者の皆さんの許可を得て収録させていただきました。  なお,本書で は,『SX-WINDOW プログラミング』を『SX-WINDOW〜』,『追補版 SX-WINDOW プログラミング』を 『本書』あるいは『追補版』と呼んで区別することにします。 本書の内容  本書は,SHARP X68000用にリリースされたウィンドウシステム,SX-WINDOWのアプリケーションを作成するために必要な情報をまとめたものです。とくに,SX-WINDOWのバージョンアップにともない, 前著『SX-WINDOW プログラミング』ではカバーしきれなくなった部分について解説を行うことを目的としています。また,『SX-WINDOW プログラミング』で説明の不足していた,アプリケーション作成に関しての補足解説も行っています。 第0章 SX-WINDOW ver1.10の概要  バージョンアップされたSX-WINDOWの概要について述べています。内部的なことには深く立ち入らず,SX-WINDOWの歴史や外見的,機能的な変遷などについて述べ,どのように変化して現在に至ったかを示しています。 第1章 プログラミングの補足説明  『SX-WINDOW プログラミング』で不足していたアプリケーション開発の手順についての補足解説を行っています。ここでは,アプリケーションの設計からデバッグまで,いくつかの段階に分けて解説を行います。 第2章 拡張されたマネージヤ  SX-WINDOWの機能アップにともない,既存のマネージヤもそれぞれ大幅に機能の拡張が行われています。この章では,大幅に拡張されたグラフィックマネージヤ,テキストマネージヤ,タスクマネージヤの3つを中心に,既存のマネージヤの変更/拡張点について述べています。  新しい機能を利用したサンプルプログラムも掲載しました。 第3章 新設されたマネージヤ  SX-WINDOWバージョン 1.10には,新しいマネージヤとしてプリントマネージヤ,サブウィンドウマネージヤの2つが追加されています。この章では,それぞれのマネージヤで導入された新しい概念や,それらを利用したプログラミングなどについて解説しています。  それぞれの新設マネージヤを利用したサンプルプログラムも掲載しました。 第4章 C言語によるプログラミング  『SX-WINDOW プログラミング』に対してご要望の多かった,C言語によるSXアプリケーションの作成方法について述べています。処理系としては,XCバージョン2.00を利用しています。 第5章 SXコールリファレンス  変更・追加されたSXコールを1つ1つ解説します。 APPENDIX  新しく追加されたリソースのリスト,いくつかのコードが追加されたリザルトコード表などを掲載しました。  付録ディスクについての解説もここで行っています。 付録ディスクの内容  付録ディスクは2HD,1.2Mバイトのhumanフォーマットのディスク1枚で構成されており,次のような情報が収められています。 C言語による開発キット 『SX-WINDOW プログラミング』,『追補版 SX-WINDOWプログラミング』のサンプルプログラムソース フリーソフトウェアの開発ツール フリーソフトウェアのアプリケーション ご利用に際しては,APPENDIXの「付録ディスクの使い方」,およびディスク中のREADMEをよくぉ読みください。 1991年12月25日 初版第1刷発行 著者 吉沢正敏